2019年07月11日
3-4 塩分はしっかりと
私は、数年前、減塩に熱心なのに、めまい、喘息などをもつ50代の男性に出会った。私はその原因は減塩だと確信し、すぐに塩分に関する諸資料を提供した。
最近の2つの統計によると、減塩に関心のある人は75%前後だった。私が食養法の勉強をはじめた1976年頃には「減塩」は庶民のなかにはなかった。その後、塩分は高血圧の原因とされ、いまではすべての慢性病の原因にされてしまった。
減塩がよいのか否か。私は答えは簡単にみつかると思っている。それは、減塩の人と塩分をしっかりとっている人に会い、健康状態をみればよいのだ。
医師と食養家の観察結果を紹介しよう。
・石井仁平(医師)
「夜、救急当直をしていると、めまいや吐き気、両手のしびれや息苦しさ、そして、とりとめもない不安を訴えてくる人は多い。たいてい色白で筋力のなさそうなご婦人だ。……こうした人に、「塩分をひかえているでしょう?」と尋ねると、血圧が高めに出ることがあるので、塩分をひかえている、と答える人は少なくない」(村上譲顕『日本人には塩が足りない』所収)
・中嶋孝司(食養家)
「私が取材した例では、過度の減塩で難病に苦しんでいる人、不妊症になった人……毎夏日射病で倒れる人、花粉症になった人、勉強嫌いになった大学生、スポーツ選手から脱落した人、怠け病で寝たり起きたりの農家の主婦など、その弊害は慄然とするものばかりでした」(『誤食の恐怖』)
減塩が広がった理由は幾つかあるが、その一つは欧米の減塩思想が、そのまま日本に持ち込まれたことである。しかし、ナトリウムを多く含む肉を食べる人は塩分(塩化ナトリウムが主成分)は相対的に少なくて済む。いっぽう、カリウムの多い穀物・野菜を食べる人は塩分が必要となる。日本人の多くは後者である。
菜食系の野性動物が塩をもとめる映像はよくテレビに出てくる。ある塩分の多い小さい沼に多くの動物がやってくる。菜食の鹿などは、ここで水を飲んで塩分をとる。いっぽう肉食動物は塩分のある水は飲まないが、沼にくる菜食動物を捕まえるために来ている。塩分は獲物の内臓や肉からとれるから。
塩分の量に関し若杉友子(食養家)は「塩味はきちんと感じるぐらい使ってよい」と書いている(『若杉友子の「一汁一菜」医者いらずの食生活』)。
なお、私がすすめる塩は自然塩(海水塩、岩塩)で、精製塩(化学塩)ではない。自然塩は60種類ものミネラルが含まれているが、精製塩は塩化ナトリウム99%である。
(参考)塩と高血圧の関係について研究した元名古屋市立大学教授の青木久三(医師、1933~?)は、血圧と食塩摂取はほとんど関係がなく、減塩で血圧が下がるのは、ある種の腎臓病の人のみだとしている。
kenko7007 at 00:06│Comments(0)│食事法 各論