2019年07月09日
3-5 水分はほどほどに
10年ほど前のことだが、友人(60代男性)が「水分を取りすぎてひどい目にあった」といってきた。かなり体調をくずしたようだ。それ以降、私は縁のあった人には、食事以外の水分摂取は一日上限1.5ℓと伝えている。
「水分不足にならないように」とテレビから聞こえてくる。血液がサラサラになるように、熱中症にならならいように、といったことである。これくらいならよいのだが、「一日2ℓの水分を取れ」と健康雑誌の広告などから見えてくる。
私は、これまで、一日に飲む水の量をほとんど意識したことはない。おおむね、お腹がすくから食べるように、のどがかわくから飲むだけだ。
一日2ℓは、食事以外で取れということだ。適当なのだろうか。
人の一日に必要な水分量は定説化している。体に入る水分は、水分の摂取で約1~1.5ℓ、食物中の水分から約0.8ℓ、体内で作られる水分約0.3ℓである(石原結實『「水分の摂りすぎ」は今すぐやめなさい』)。
私はこれをみて、食事以外でとる水分はずいぶん多いと思ってきた。人間は体毛がないせいだろうか。それなのに、なお、一日2ℓを取れという人がいるのだ。
水分を多めに取るとどうなるか。二人の見解を紹介しておこう。
・千坂諭紀夫(食養家)
「……必要以上の水を飲めば飲むほど、赤血球は薄くなっていくのです。……赤血球が減ると、ヘモグロビンの数値も下がり、酸素を運ぶ血液の力が弱くなってしまいます。医学的には、ヘモグロビンが低すぎると貧血と診断されます」(『「血液のチカラ」が病気を治す!』)
・石原結實(医師)
「血液を汚す原因のひとつに「冷え」がある……冷えを引き起こす最大の理由は「水分の摂りすぎ」である。現代人は体を動かして汗を流す機会も少ないのに、やたらと水分を摂る。……「たかがジュース」「たかがお茶」などと侮(あなど)らず、アルコールの飲み過ぎに注意するように、コーヒー、お茶、清涼飲料水も飲みすぎには注意したい」(『イシハラ式家庭の医学』)
(参考)甲田医師がすすめる水分量
甲田光雄(1924~2008)は、やや独自の食事療法で多くの難病を治した医師である。ネット上に甲田が一日2ℓを勧めていたとあったので本を見た。たしかに1.5~2ℓを勧めていた。しかし、前提があった。それは「半日断食を行うと、食事からとる水分が少なくなるため、生水や柿の葉茶で水分を多くとる」ということだ(『奇跡が起こる半日断食』36~37頁)。半日断食とは朝食を抜く1日2食の玄米菜食で、間食や夜食はいっさい禁止である。食事からとれる水分が少ないから飲料水を多くするということで、一般の人に1.5~2ℓを勧めたわけではない。
kenko7007 at 00:07│Comments(0)│食事法 各論