おわりに4-8 現代医学は診断学

2019年06月18日

4-9 治る人治らない人

 人さまの健康支援をしていると「玄米菜食にすると治る」と言うだけではすまないと痛切に感じる。同じことを伝えても、治る人と治らない人がいるからだ。

 私が直面した事例を紹介しておこう。
 ひとつは16年ほど前のことである。ある日、私が大型書店の家庭医学コーナーで本を見ていると、一人の女性(20代後半?)がきた。彼女は体格が良すぎて(陽性体質?)、明日入院してもおかしくないようにも見えた。本が沢山ありすぎるので探せないと思い「何を探してますか」と聞いたら「尿から糖が出ている」という。5分ほどの会話ののち森下敬一(医師)の文庫本を教えたところ買って帰った。私の資料も見たほうが良いといったところ、住所を教えてくれたので、後日、資料20枚ほどを投函しておいた。彼女はこれだけがきっかけで、あっさり糖尿病を克服した。結果は数度のハガキで教えてくれた。見知らぬ人とのたった5分ほどの会話で重病を克服したのだ。
 いっぽう、長年の知り合いであるため、セミナーにさそったり、資料を渡したり、ついには必死で支援したのに成果がでなかった人もいる。

 こういったことは食養法の指導者ならだれもが経験している。食養家の後藤邦汎(くにひろ)は「私どもに相談に見えた方の中で、全身末期ガンでも奇跡的に完治した人もいれば、ごく簡単な肩こりで相談に見えていながら、あっけなく亡くなってしまった方もいる」と書いている(『「ガン」あなた、あきらめないで』)。

 どうして、治る人と治らない人がいるのか。
 私はここ16年間に支援した多くの人のことを思い出してみた。気づいたことは幾つもあるが、2つだけ書いておこう。
 まず、第一は、食生活を変えると病気が良くなることを、感覚的につかめるかどうかである。
 慢性病の原因はまちがった食事にある。それなのに、医者はそうは言っていない、薬(化学薬剤)でも治るはずだ、などと、食生活に目を向けられない人がいる。
 つぎは、病気治しに意気込みがあるかどうかである。いまの日本は薬で病気を治すことが主流である。こんななか、食事改善で病気を治そうとすると、医者や、時によっては家族とあつれきがおきる。また、指導者もテキストも自分で探さなければならない。これをやり抜くには自立性が必要となる。

 感覚とか自立性は、他人がかんたんには変えられない。そのため、いかに有能な指導者でも、それほど多くの人の病気は治せない。

 精神面の指導がきびしかった牧内泰道(断食・食養指導者)の言葉を紹介しておこう。
 牧内は、断食道場に来て「治して下さい」という依頼心の強い人たちには「毎日みなに「指導者になれば治るぞ!」と演説する」(『断食パワー「超」健康法』)。
 一般には「自分の病気を治したいなら、自分と同じ病人を探して、その病人を治してやるのである。他人様の病気を治すには、まず研究しなければならなくなる。研究したことを自分で試さなければならない」と(『森下自然医学』1990.2)。
 牧内は「自分の病気治しに真剣に取り組め」と言いたかったのだと思う。
         
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kenko7007 at 00:46│Comments(0)食事法 終章 

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