2019年06月20日
4-7 食生活に迷ったら
主食を玄米又は未精白穀物とする食養法を学び、実行していても、食生活に迷いがでることがある。それは、よさそうな情報がマスコミなどを通して伝わってくるためだ。最近では、2008年頃から糖質制限食の本が売れだし、あっという間に広がった。これは、糖質の多いもの(穀物、いも、かぼちゃなど)は、一日にご飯茶碗1杯程度にし、あとは肉、魚、大豆、野菜中心の食事にしようというものだ。長いあいだ玄米菜食だったのに糖質制限食に変え、あっという間に病気になった人もいる。糖質制限食は推進者の一人が62歳で死去したことがきっかけで、10年たたずにいっきょに衰退しつつある。
食生活に迷いがでたときは、大局的な観点にたつことが大切だ。ここでは2つの見方を紹介しよう。
まず、第一は「人間は何を食べる動物か」と考えてみることである。
これについては人間に近い動物の食事を調べるとよい。一番近い動物は類人猿といわれる大型さるで、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの3種である。かれらは、主として果実、木の芽、葉の芽、木の葉などを食べ、基本的に植物食である。3種とも動物性のものを食べるが少しだけだ。
迷ったときは、人間に近い動物は何を食べているかと考えてみるとよい。かれらと体質的に似た人間も基本的には植物食である。
つぎは「日本人は何を食べてきたか」と考えてみることである。
人間は、長年、アフリカだけでくらしていたが、数万年かけて世界中に広がった。そのため、地域の気候によって食性がちがっている。高温多湿の地に住む日本人は、穀物を主食とした菜食系の食事に魚介類をプラスしてきた。和食である。そして、日本人はそのような食事に対応する体になっている。いっぽう、同じ人間でありながら、北極海沿岸でくらすイヌイットはアザラシ・トナカイなどから食料を得ているが、これは超寒冷地の食事である。日本人が適応できるものではない。
迷ったら、日本人は何を食べてきたかと思いめぐらすとよい。
「食生活に迷ったら」について、もうひとつの視点を付け加えておく。
私は、食生活で大切なことを一つだけあげるなら、それは「未精白穀物を食べること」だと思っている。これは、多くの食養法指導者の見解といってもよいだろう。それは、未精白穀物を食べると、ほとんどの栄養素が取れるためだが、さらに、肉などの味の濃いものや、甘いものもを欲しくなくなるためでもある。私は、食生活に関しては「未精白穀物、未精白穀物」と、毎日、心のなかで唱えながら生活するくらいがよいと思っている。
kenko7007 at 00:05│Comments(0)│食事法 終章