2019年06月

2019年06月21日

4-6 食べる物は沢山ある

 ある日、私は食養法(玄米菜食健康法)のセミナーに参加した。講師は冒頭で「食品添加物の入っているものには注意してください」などと言った。私は、これでは参加者に「食べる物がなくなる」と感じる人がでると思った。とくにはじめての参加者に。なお、私はこの種のセミナーに40回以上参加しているが、食品添加物から入ったのはこの日だけである。

 食養法の話を聞いた人のなかに「これでは食べる物がなくなってしまう」という人がいるようだ。私も、たまに耳にする。
 たしかに食養法には、白米はダメ、肉・卵・牛乳はダメ、白砂糖はダメ、食品添加物はダメで、ダメダメの連続といったところもある。そのため食べる物がなくなると思う人がいても不思議ではない。

 私は、いまから40年ほど前に玄米菜食に切りかえたが、この直後の印象では「食べる物がなくなる」どころが、食べる物がありすぎて選ぶのに困るくらいの感じがしていた。
 では、どうして「食べる物がなくなる」と思ってしまうのか。それは、食べてはダメなものと、しっかり食べるべきものを、同時に学ばないからだと思う。同時に学べば、食養法がすすめる食材の豊かさを感じることができると思う。

 これに関して、森下敬一(医師)はつぎのようにいっている。
「実をいうと、何が悪い食べ物かということを知るよりも、体にとって必須不可欠な食べ物が何であるかを知ることのほうが、ずっと重要なのである。必要な食品を必要なだけしっかりとっていれば、不必要・有害な食品が入り込む余地がなくなるからだ」(『慢性病は食べ物で治る』)

 では、「体にとって必須不可欠な食べ物」は何か。
 それは、2-1でみたように、玄米又は未精白穀物、みそ汁、野菜・海草、そして少しの肉・魚などである。

 森下敬一の「とるべき食品」も紹介しておこう(『前掲書』)。
  未精白穀物  玄米、麦、キビ、アワ、ヒエ、トウモロコシ、ソバ
  根菜類  ごぼう、にんじん、れんこん、大根、山いも
  葉菜類  にら、春菊、玉ねぎ、もやし、しいたけ
  種実類  ナッツ類(松の実、くるみ、ぎんなん、かぼちゃのタネ)、ごま
  発酵食品  味噌、納豆
  海藻類  昆布・わかめ・ひじき
  小魚貝類  シジミ、アワビ、ナマコ、ウニ、イワシ、カキ、イカ、エビ
  調味料  しょうゆ、自然塩、自然酒、黒砂糖
  健康補強食品  胚芽、葉緑素、酵素、高麗人参、ローヤルゼリー、花粉
  和漢茶  ヨモギ、オオバコ、クコ、ハトムギ、ゲンノショウコ
 これをみると、けっして日々の食材の選択に困ることはないと思う。

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2019年06月20日

4-7 食生活に迷ったら

 主食を玄米又は未精白穀物とする食養法を学び、実行していても、食生活に迷いがでることがある。それは、よさそうな情報がマスコミなどを通して伝わってくるためだ。最近では、2008年頃から糖質制限食の本が売れだし、あっという間に広がった。これは、糖質の多いもの(穀物、いも、かぼちゃなど)は、一日にご飯茶碗1杯程度にし、あとは肉、魚、大豆、野菜中心の食事にしようというものだ。長いあいだ玄米菜食だったのに糖質制限食に変え、あっという間に病気になった人もいる。糖質制限食は推進者の一人が62歳で死去したことがきっかけで、10年たたずにいっきょに衰退しつつある。

 食生活に迷いがでたときは、大局的な観点にたつことが大切だ。ここでは2つの見方を紹介しよう。

 まず、第一は「人間は何を食べる動物か」と考えてみることである。
 これについては人間に近い動物の食事を調べるとよい。一番近い動物は類人猿といわれる大型さるで、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの3種である。かれらは、主として果実、木の芽、葉の芽、木の葉などを食べ、基本的に植物食である。3種とも動物性のものを食べるが少しだけだ。
 迷ったときは、人間に近い動物は何を食べているかと考えてみるとよい。かれらと体質的に似た人間も基本的には植物食である。

 つぎは「日本人は何を食べてきたか」と考えてみることである。
 人間は、長年、アフリカだけでくらしていたが、数万年かけて世界中に広がった。そのため、地域の気候によって食性がちがっている。高温多湿の地に住む日本人は、穀物を主食とした菜食系の食事に魚介類をプラスしてきた。和食である。そして、日本人はそのような食事に対応する体になっている。いっぽう、同じ人間でありながら、北極海沿岸でくらすイヌイットはアザラシ・トナカイなどから食料を得ているが、これは超寒冷地の食事である。日本人が適応できるものではない。
 迷ったら、日本人は何を食べてきたかと思いめぐらすとよい。

 「食生活に迷ったら」について、もうひとつの視点を付け加えておく。
 私は、食生活で大切なことを一つだけあげるなら、それは「未精白穀物を食べること」だと思っている。これは、多くの食養法指導者の見解といってもよいだろう。それは、未精白穀物を食べると、ほとんどの栄養素が取れるためだが、さらに、肉などの味の濃いものや、甘いものもを欲しくなくなるためでもある。私は、食生活に関しては「未精白穀物、未精白穀物」と、毎日、心のなかで唱えながら生活するくらいがよいと思っている。



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2019年06月19日

4-8 現代医学は診断学

 ここまで慢性病の予防・治療のための食生活を書いてきた。それを行えば健康面で安泰な生活を送れる。しかし、医者の世話になることは必ずある。そのため現代医学(病院の医学)の特徴を知っておくことは大切だ。

 現代医学の特質を知るために、2つの事例を紹介しよう。

・私がここ10数年、週に一度ほど通る道に「乳がん検診」と書いた大きな看板がある。私は通るたびに、なぜ検診であって治療でないのかと思ってきた。このクリニックは乳ガンと診断したら、治療はしないのか。
(コメント)慢性病については、現代医学の得意分野は診断であり、いっぽう、治療法はあまりもっていないことを示した事例である。このクリニックは、乳ガンと診断したら、治療は他の大病院を紹介するのか、患者自身にまかせるのか。

・リウマチの女性(50代)は2度も倒れたほどの重症だったが、食改善などで克服した。その後、クリニックにゆき、医者に「リウマチはどうし起きるのですか」と聞いたところ、医者は無言をつらぬき返事をしなかったという。
(コメント)現代医学は外面にでた症状をみて薬を処方する。そのため、症状の原因がなんであるかに関心がない。だから、医者は質問されても答えられなかったのだ。

 現代医学(内科系)の得意分野は診断であり、治療法としての薬(化学薬剤)は一時的・応急的措置(対症療法)にすぎないことは、すべての医者は知っている。また、東洋医学系の人も含めた多くの医療関係者も知っている。しかし、この事実を公言する医者は少ない。でも、いないわけではない。3つ紹介しておこう。
・一患者の言葉から
「私は、病院を全面的に否定する者ではありませんが、若年より、肺結核、腸結核などで北大病院にお世話になったとき、教授の言葉が、「病院は、病気を発見するところで治すところでない!」ということでしたので、以後、このような認識をもっています」(鈴木弘一『自然食と玄米酵素』1975所収)
・小田慶一(医師)
「世の中にはさまざまな病気があるが、いろいろ検査をして、正確な病名がわかったなら適切な治療が受けられるというのは、根本的な間違い(幻想)であることを理解していただきたい」(『はぐれ医者の万病講座Ⅰ』1990)
・柴田二郎(医師)
「診断して病名が分かったところで、どうしようもない。医者にできるのはじっと経過を見守り、対症療法を施すことくらいである。医療はもはや病気に対して無力なのである」(『医療の常識を斬る』1997)
 肩書、権威にまどわされず、医者のいう言葉を冷静に聞けば、現代医療の特徴がつかめることもあるのではないか。医者に過大な期待をするのは禁物である。



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2019年06月18日

4-9 治る人治らない人

 人さまの健康支援をしていると「玄米菜食にすると治る」と言うだけではすまないと痛切に感じる。同じことを伝えても、治る人と治らない人がいるからだ。

 私が直面した事例を紹介しておこう。
 ひとつは16年ほど前のことである。ある日、私が大型書店の家庭医学コーナーで本を見ていると、一人の女性(20代後半?)がきた。彼女は体格が良すぎて(陽性体質?)、明日入院してもおかしくないようにも見えた。本が沢山ありすぎるので探せないと思い「何を探してますか」と聞いたら「尿から糖が出ている」という。5分ほどの会話ののち森下敬一(医師)の文庫本を教えたところ買って帰った。私の資料も見たほうが良いといったところ、住所を教えてくれたので、後日、資料20枚ほどを投函しておいた。彼女はこれだけがきっかけで、あっさり糖尿病を克服した。結果は数度のハガキで教えてくれた。見知らぬ人とのたった5分ほどの会話で重病を克服したのだ。
 いっぽう、長年の知り合いであるため、セミナーにさそったり、資料を渡したり、ついには必死で支援したのに成果がでなかった人もいる。

 こういったことは食養法の指導者ならだれもが経験している。食養家の後藤邦汎(くにひろ)は「私どもに相談に見えた方の中で、全身末期ガンでも奇跡的に完治した人もいれば、ごく簡単な肩こりで相談に見えていながら、あっけなく亡くなってしまった方もいる」と書いている(『「ガン」あなた、あきらめないで』)。

 どうして、治る人と治らない人がいるのか。
 私はここ16年間に支援した多くの人のことを思い出してみた。気づいたことは幾つもあるが、2つだけ書いておこう。
 まず、第一は、食生活を変えると病気が良くなることを、感覚的につかめるかどうかである。
 慢性病の原因はまちがった食事にある。それなのに、医者はそうは言っていない、薬(化学薬剤)でも治るはずだ、などと、食生活に目を向けられない人がいる。
 つぎは、病気治しに意気込みがあるかどうかである。いまの日本は薬で病気を治すことが主流である。こんななか、食事改善で病気を治そうとすると、医者や、時によっては家族とあつれきがおきる。また、指導者もテキストも自分で探さなければならない。これをやり抜くには自立性が必要となる。

 感覚とか自立性は、他人がかんたんには変えられない。そのため、いかに有能な指導者でも、それほど多くの人の病気は治せない。

 精神面の指導がきびしかった牧内泰道(断食・食養指導者)の言葉を紹介しておこう。
 牧内は、断食道場に来て「治して下さい」という依頼心の強い人たちには「毎日みなに「指導者になれば治るぞ!」と演説する」(『断食パワー「超」健康法』)。
 一般には「自分の病気を治したいなら、自分と同じ病人を探して、その病人を治してやるのである。他人様の病気を治すには、まず研究しなければならなくなる。研究したことを自分で試さなければならない」と(『森下自然医学』1990.2)。
 牧内は「自分の病気治しに真剣に取り組め」と言いたかったのだと思う。
         
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2019年06月17日

おわりに

 私は2005~2009年にかけてネット上(ブログ)に健康関連の短文をたくさん書いた。それを2016年から読みはじため方(その後の健康仲間)が、「また何か書いたら」などと言ってくれた。それがきっかで書いたのがこの冊子である。

 冊子は分量がふえないように心がけた。しかし、書きたいこと、書けることはほとんど書いた。ただ、タバコの節はもうけなかった。それは、タバコは2千年以上の歴史があり、マナー問題はともかく、吸いすぎなけれは害はなく、肺ガンの主因は肉食過多との私の見方のためである。

 この冊子は、ごく短期間で書きあげた。それができたのは過去の私の文章や集めていた資料を利用したためである。主なものはつぎのとおりである。関係者に感謝する。
 ・私が人さまの健康支援をした際に集めた資料やメモ
 ・その時、仕入れ先の会社の多くの社員から指導を受けた際のメモ
 ・サークル仲間に食養法やガンについて発表した際の諸資料
 ・サークル誌やネット上に書いた文章
 ・客先に定例的に提供している健康諸情報    

 私は玄米菜食を取り入れてから27年ほどはアマチュアとして、ここ16年ほどは業務として人さまの健康支援をしてきた。そこで得た結論は
 ・玄米(又は未精白穀物)菜食にすること
 ・乳製品を含む動物性食品は食事全体の1割前後にすること
 ・効能が高くかつ価格の安い健康食品をさがして食べること
 ・それらをできるだけ良く良く噛むこと
 ・薬(化学薬剤)は最小限にすること

 以上である。そして、これをできるだけ忠実に行い、あとは天命を待つのみ、といったことが結論であり、40数年で得たことである。

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