2019年07月
2019年07月31日
2-2 なぜ玄米か
食養法では副食は主食(玄米又は未精白穀物)より量は少なくするし、少なくてよい。
典型的な例をひとつあげておく。
宮沢賢治は「雨ニモマケズ」の詩の中に「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」と書いた。これは農業労働をしていたときの賢治の実際の食事に近いものとされている。
賢治の例は副食がきわめて少ないが、幾人かの指導者は、玄米を食べるときは副食(みそ汁を除く)は玄米ごはんの3分の1ほどがよいとしている。これで健康で過ごせるほど玄米の効用は高いのだ。
賢治の例は副食がきわめて少ないが、幾人かの指導者は、玄米を食べるときは副食(みそ汁を除く)は玄米ごはんの3分の1ほどがよいとしている。これで健康で過ごせるほど玄米の効用は高いのだ。
では玄米はなぜ効用が高いのか。
私はつぎの3つかと思う。
・カロリーがしっかりとれること
カロリーがとれなくては主食になりえない
・ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富なこと
いわゆる微量栄養素がしっかりとれなくては健康を維持できない
・体を冷やすこともなく、暖め過ぎることもなく中庸であること
どちらかに片寄っていては主食にしにくい
以上、3つの理由が主因で玄米は主食とされてきたのだろう。
ここで玄米批判を一つ紹介しておく。
ある医者は「今日のように食べ物が豊富な時代には、わざわざ玄米を食べなくてもよい。かんたんに手に入る豊富な食べ物からビタミン、ミネラルをとればよい」と。
たしかに白米を食べていても、おどろくほど健康な人がまれにいる。しかし、白米と組み合わせて健康を維持できる副食を選ぶことは、とてもむずかしい。一億総半病人といわれるように、多くの人はうまくいっていない。
2019年07月30日
2-3 玄米批判にまどわされるな
食養法は玄米(又は未精白穀物)中心の食事法である。
ところが、玄米にはいわれなき批判がある。ここではそのうち2つを取り上げ、解説を加えておく。
(批判1)玄米を食べると骨が弱くなる
玄米の表皮にはフィチン酸(リン酸化合物)が含まれる。フィチン酸は体内のビタミン・ミネラルと結合し体外に排出する作用をもつ。当然、体内のカルシュウムとも結合して排出する。そのため玄米食にすると骨が弱くなるという批判がある。
これについて、ある食品会社は「玄米はビタミン・ミネラルを少し排出するが、それでも玄米自体に十分な量のビタミン・ミネラルが含まれているから問題ない」と解説している。
私はこれが正当だと思う。というのは私自身も玄米を食べているが骨は丈夫である。また、私の知人の多くの玄米食者も同じである。
米糠(胚芽・表皮)は豚や養殖魚のエサになっている。もし糠(ぬか)が骨を弱くするなら養殖業者は使わないし、豚や魚も食べないだろう。
(批判2)玄米は消化が悪い
玄米は白米にくらべ消化が悪いから良くないとの批判がある。でも、私は玄米食を長年つづけている人たちから「消化が悪い」と聞いたことはまったくない。歯が悪く玄米を苦手とする年配者はいるが。
食材のなかで「消化が悪いもの」は何だろうか。諸資料で調べたところ、消化が悪いのは、ゆで卵、目玉焼き、テンプラ、かまぼこ、油揚げ、うなぎ、肉類、貝類、イカ、タコなどだった。いずれも油分が多い食材だ。もちろん玄米は入っていない。
玄米と白米の消化に関し、先の会社は「幾つかの研究報告では、玄米食の消化吸収はわずかに白米に劣る。しかし、栄養素の量は、玄米が断然多いので、わずかな吸収率の差は問題にならない」と解説している。
(参考)
フィチン酸はダイオキシンやカドミウムなどの体内の有害物質と結合して対外に排出することは、それなりに知られている。
2019年07月29日
2-4 玄米はおいしくない?
「玄米はおいしくない」という批判をみておく。
私は40年以上も玄米ごはんを食べてきたが、かみごたえがある玄米ごはんにくらべ白米ごはんはものたりない。
玄米ごはんは、日本で2千年以上の歴史があり多くの人が食べてきた。それがおいしくないとされる理由を2つとりあげる。
・味覚が狂っているのでは?
人が普通に食べるものを、ごく一部の人だけがおいしくないと感じるのは、その人たちの味覚が狂っている可能性がある。漢方医学では、味覚が狂っている人はお血だという。お血とは汚れた血液のことである。玄米ごはんをおいしくないと感じる人は、まず、自分のお血による体調不良をうたがってみるとよい。
・玄米ごはんはうまく炊けているか?
味覚が正常な人が、玄米ごはんはおいしくないと感じるなら、ごはんがうまく炊けてないのかもしれない。私は40年ほど前に買った圧力鍋で玄米を炊いているが、おいしくできる。この鍋は、当時、玄米がうまく炊けることで定評があった。
私は、長年の間に、知人宅、食堂、弁当業者などのつくった玄米ごはんを10回ほど食べている。そのなかにはおいしくないものが2~3度あった。ふっくら炊けていないのだ。
自分で炊いた玄米ごはんをおいしくないと思う人は、玄米炊飯に定評のある圧力鍋をさがすなどして、炊き方に工夫をしていただきたい。
・玄米ごはんを食べると体調が悪くなる?
これは味のことではない。玄米ごはんを一ぜん食べると「下痢をする」と言った人がいる。これは、ビタミン・ミネラルの豊富なものなどを食べたときに、一時的に出る不快な症状のひとつである。お血の人に強く出がちで、好転反応(4-2)といわれる。
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2019年07月28日
2-5 動物性食品の比率は
食養法はおおまかにいうと菜食である。菜食の菜は野菜で、主食は玄米(又は未精白穀物)、副食は野菜を主とするのが食養法である。
では食養法の指導者は、動物性食品はどのくらい食べるべきとしているのだろうか。
私は2-1で、動物性食品は食事全体の5~15%くらいと書いた。多くの指導者たちは、このくらいが良いとしている。
なぜ、動物性食品をたくさん食べてはいけないのか。ここでは動物性食品を肉と表現して解説していく。
・肉は腸の中で腐りやすい
肉は穀物や野菜にくらべて腐りやすい。これは体の中に入っても同じである。人間の体温は36.5度位、食べてから便として出るまで、通常、24時間以上かかる。この間、肉は腸で腐敗する。そして有毒ガスを出し、それが腸から血液の中に入る。
・肉は便秘につながる
肉には食物繊維が少ない。そのため肉食過多になると便秘がちになる。便秘になるとたまった便から有毒ガスが体内に入り込む。
・肉食過多は陽性体質になる
肉は陽性食品である。肉食過多だと陽性体質になりすぎ諸病のもととなる。
では、肉食はゼロがよいのだろうか。
多くの食養法の指導者たちは肉食ゼロは勧めていない。それは、肉食は陽性食品で体を暖めるし、ビタミンB12など肉食でないととりにくい成分がある、といったところだろうか。
いっぽう、食養法の実践者のなかには、動物性食品を「できるだけとらない」「まったくとらない」といった人たちもいる。
でも、私はこれは不自然だと思っている。それでは十分な健康が得られないと思うからだ。人間は、過去、長い間、多少の動物性食品をとってきた。また、歯の構成も永久歯28本のうち4本(約14%)は犬歯である。犬歯は肉などをかみ切る歯である。人間は多少の動物性食品を食べる動物なのである。
2019年07月25日
2-6 副食は少なめに
「おかず食いは健康になれない」と言う人に出会うことがある。ことわざのようだが、ことわざ辞典には出てこない。準ことわざくらいであろうか。
2-1に書いたように食養法では、おおまかにいって副食が主食より多くなってはいけない。主食と副食の比率は、主食を玄米にするか未精白穀物にするかで変わってくる。玄米なら副食は主食の3分の1でよいとする指導者が多い。いっぽう7分搗 (つ)き米なら主食と副食はほぼ同量くらいであろうか。
なぜ副食が多くてはいけないのか。二人の指導者の意見を紹介しておく。
・長岡由憲(医師)
「副食を多くすると、自分の好きな食品を多く食べる傾向になります。そうすると栄養のバランスがもっと崩れることになります」(『新食養療法』)
・東城百合子(食養指導者)
「ご飯を食べないで副食をたくさん食べる人に肥満が多いのは、胚芽のついた穀類は細胞に弾力と活力を与えるため体がしまるのに対して、副食が多くなると水分やカリウムなどが多くなって、細胞がふくれてふけやいすからです。それに酒や砂糖を使った甘いものが多くなると、いっそうふやけてしまうのです」(『食生活が人生を変える』)
別な視点から、副食が多くては危険な理由を紹介しておこう。
今、テレビや新聞・雑誌からどんどん健康情報がでてくる。「野菜をたくさん食べよう」「大豆を毎日食べよう」「酢をとろう」「青魚がよい」などいろいろである。しかし、これを受け入れると大変なことになることがある。体が陰や陽にかたむきすぎてしまうことなどのためだ。こんなとき、「副食は少なめに」の習慣が身についていれば、野菜、大豆、酢、青魚などを食べすぎることはない。そのためマスコミ健康情報からの被害を最小限にすますことができる。
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