2019年07月

2019年07月24日

2-7 少食のすすめ

 2-1で、食養法は玄米ごはんに変えるだけでなく、幾つかの決まりごとがあると書いた。その一つが少食である。私は40年ほど前に、数多くの本を読み食養法を勉強したが、ほとんどの指導者に共通していたのが少食である。

 少食とはどの程度のものか。
 ごくかんたんにいうと一日2食分くらいの量である。
 指導者の多くは朝食ぬきの1日2食を提唱し実行している。2食だからおのずと少食になる。もっとも、昼食ぬきの2食、夕食ぬきの2食の人もいる。大切なのは一日の食事量である。3食でも2食くらいの量ならかまわない。

 なぜ少食が大切なのか。
 食べすぎると諸病につながるからである。

 食養法ではどの位のカロリーをすすめているのか。一日1100~1800kcal位である。甲田光雄(医師)は、ある本で1500以下にさせるのはむずかしいと書いていた。逆にいうと1500~1800kcal位なら実行可能ということのようだ。

 朝食ぬきの1日2食で大丈夫なのか。生徒は朝礼で倒れないのか。サラリーマンは午前中仕事になるのか。
 私は玄米ごはんを取り入れるなど食事の質を上げると問題ないと思っている。
 世の中には朝食前にハードな仕事をする人がたくさんいる。私の知る酪農家は牛の搾乳を朝食前にしていた。新聞配達の人も何も食べずに2時間ほどの朝刊配達をしている。お相撲さんもハードな稽古のあとに食事をしている。ほかにも多くの例がある。朝食ぬきの生徒が朝礼で倒れるのは、朝食ぬきのせいではなく、その生徒の日常の食事全体からきているのではないか。



kenko7007 at 00:07|PermalinkComments(0)食事法 総論 

2019年07月23日

2-8 一物全体食

 一物全体食は食養法でのもっとも大切な手法・考え方のひとである。

 一物は「いちぶつ」と読むことが多いが、「いちもつ」とも読む。
 一物全体食は、食材を丸ごと食べようということだ。米なら精米せずに表皮や胚芽のついたまま、即ち、玄米で食べること。大根なら葉も捨てずに皮もむかないで食べること、魚なら頭や骨やしっぽも食べること。こういった食べ方である。

 なぜ、食材を丸ごと食べるのか。
 それは人間が捨てている部分、即ち、胚芽、表皮、皮、魚の頭、骨、しっぽなどにビタミン・ミネラル、食物繊維などが多く含まれているからだ。

 野性動物は、すべての場合ではないが、食材を丸ごと食べるのが普通である。そして、丸ごと食べることが主因となって、人間のような慢性病がない。

 人間も一物の全体を食べるように日々努力すれば、病気にかかりにくくなる。また、健康食品なども少なくてすむ。一物全体食は、手軽にでき、かつ、お金のかからない健康法である。



kenko7007 at 00:10|PermalinkComments(0)食事法 総論 

2019年07月22日

2-9 陰と陽の食事法

 食養法は、主食は玄米(又は未精白穀物)、副食は植物性のもの中心であるが、それ以外にも、これまでみてきたように必須事項といったものが幾つかある。

 必須事項のうち、私がいちばん大切だと思うのが、陰と陽を考慮した食事である。
 陰と陽(陰陽説)は元々は中国の易学の概念で、性質の相反する二つのもの(暖と寒、天と地、日と月、男と女など)は、互いに対立依存しながら万物を形成する、といったことである。

 陰と陽の考え方は健康分野にとり入れられている。
 食養法で考える陰と陽は2つである。

 一つは体質を陰性体質と陽性体質にわけることである。典型的な陰性体質は顔が青白く元気なさそうで虚弱体質的な人である。典型的な陽性体質は固太り・筋肉質で血色もよく元気であるが、今にも大病しそうな危うさがある人でもある。

 つぎは食材を陰性食品と陽性食品にわけることである。陰性食品は体を冷やす性質をもち、陽性食品は暖める性質をもつ。
 陰性体質の人は体が冷えているから陽性食品を多めに食べる必要があり、陽性体質の人は陰性食品を多めに食べる必要がある。

 陰性食品、陽性食品、そして中庸食品の代表的なものをあげておく。
 ・陰性食品 酢、果物、野菜、海草、いも類、豆類、アルコール
 ・中庸食品 米、麦、アワ、ヒエ、キビ
 ・陽性食品 獣肉、魚肉、卵、塩、味噌、醤油、梅干し

(参考1)
 食養法の基本に「身土不二(しんどふじ)」という格言がある。これは、季節毎に取れるものを、その時期に食べると、体を冷やさず暖めすぎずに健康でいられると、いったことである。
(参考2)
 陰陽の解説は次のものを勧める。
・入手しやすいもの
 森下敬一『ガンは食事で治す』(ベスト新書)の37~43頁、145 ~147 頁の陰陽の解説
 若杉友子『長生きしたけりゃ肉は食べるな』(幻冬舎、新書)の182 頁の表ほか
・推薦図書 
 大森一慧、小橋規實男、千坂諭紀夫、若杉友子の本の食物の陰陽表など
(参考3)
 陰陽の食物分類表は何人もの食養指導者が示している。しかし、なかには酢や納豆を陽性とするなど評価の正しくないものがある。酢や納豆は間違いなく陰性である。



kenko7007 at 00:08|PermalinkComments(0)食事法 総論 

2019年07月18日

2-10 冷え症

 健康を維持・向上させるためには、冷え症を理解することはとても大切である。
  冷え症とは手、足、お腹などが冷え、それを本人が感じることである。もっとも本人が感じないのに体が冷えていることもあり、こちらも問題がある。

 私は40数年前に食養法の勉強をはじめたが、当時は陰性・陽性体質、陰性・陽性食品の解説はあったが、冷え症という独立した項目はなかった。ところが今では、「冷え」が入った書名の本が何十冊もある。冷え症が日本人に広がったためではないか。

 冷え症は冷えをがまんして耐えるだけですむなら、さほどの問題はないかもしれない。しかし、冷え症からの病気はたくさんある。冷え症がもとで起きる病気で私が一番出会うのは腰痛かと思う。

 ここでは佐藤巳代吉(医師)の解説を紹介しておく。佐藤は東洋医学を治療に取り入れている。
 佐藤は冷えと病気・症状の関係を2つに分けて解説している。

「冷えが原因で起こったと考えられる症状」
  ・疼痛(腰痛、頭痛、座骨神経痛、下肢痛、頸肩腕症候群、多発性神経炎、
      手関節痛、肩甲関節周囲炎)
  ・呼吸器症状(咳、気管支ぜん息、はな水、風邪引きやすい)
  ・冷え(手足の冷え,手足のしびれ、さむけ)
  ・循環器症状(心臓不快感、めまい)
  ・消化器症状(下痢、食欲不振、腹痛)
  ・その他(疲れやすい、耳鳴り)

「冷えと関係が少なくないと考えられる疾患」
「これまでの臨床経験から、冷えと関係が少なくないと考えられた症状や疾患は次のようなものがあげられます。自分は冷えを自覚していなくても、体に冷えが潜んでいて、それがいろいろな症状をつくり、回復を遅らせている場合があります。
 たとえば、疲労倦怠感、花粉症、気管支ぜん息、風邪を引きやすく長引く、アト ピー性皮膚炎、神経痛、関節痛、リウマチ、手足のしびれ、偏頭痛、低血圧症、めまい、動悸、狭心症、不妊症、頭重、食欲不振、下痢、便秘、頻尿、耳鳴りなどの症状を訴えます。言葉をかえれば「冷え」は体調をくずす隠れた仕掛け人といっても過言ではないでしょう」(『新・東洋医学の知恵』)

 冷えを防ぐうえでもっとも大切なのは食事である。食養法を取り入れればよいが、個々の注意点は次節以降で解説する。

(参考)冷えは自覚できないケースがある。この場合、病気や症状から自分が冷え症であることを推定し、冷えをとる食事法などを行う必要がある。



kenko7007 at 00:19|PermalinkComments(0)食事法 総論 

2019年07月17日

3-1 酢の功罪

 私は、いまから40年ほど前と、16年ほど前に食養法を集中して勉強した。多くの指導者たちの本をていねいに読んだ。それをいま思い出してみると、酢についてはほとんど書かれていなかった。食養法では酢は中心的な食材ではない。ところが、いま、菜食系の食事に関心のある人のなかに、酢をひんぱんにとっている人がいる。そのなかには酢で体を冷し病気になった人もいる。

 つぎは、60代の男性Aと私との会話である。
  A「腰が痛いのだが」
  私「腰痛は冷えからくるが果物とか酢をとりすぎていませんか」
  A「酢の物を毎日食べている」

 こういった例は私の周囲だけでもけっこうある。腰痛の人、めまいの人、貧血ぎみの人、生理のとまった人、心筋梗塞の人など。これらが酢が主因と断定できるわけではないが、酢を多めにとっていたのは事実である。

 ある医者は、ドロドロ血液をサラサラ血液にするのに、即効性が一番高い食材は酢だと実験結果を示していた。
 酢が効果が高いなら使い方を誤ると大変である。

 酢の性質に関しては小橋規實男(食養家)の説明が分かりやすい。
「……お酢も陰性の強いものです。和食にお酢はつきもので、昔から日本人は料理に取り入れてきました。使い方を調べてみると、カニ、エビ、カイの料理に使っていたことがわかります。どれもが固いタンバク質なので消化吸収が悪い。そこで、タンパク質を分解する力のあるお酢を使ったわけです。しかし、酢だけでは陰性が強く危険性があるので陽性の醤油と混ぜて酢醤油にして使っているのです。逆に、このような理にかなった使い方ではなく、単純にお酢が身体にいいと考えて酢飲み健康法などを行うのは賢明とは言えません」(『気を高める陰陽食事健康法』『現代人を救う「気」を高める食事法』) 

 酢は、酢飲み健康法だけでなく、酢大豆のように他の食材と組み合わせたものが勧められている。しかし、酢大豆についていえば、酢も大豆も陰性食品で、取りすぎては体を冷やす。

(参考)
 酢の使用頻度について、細野雅裕(食養家)は次のように書いている。
「要は、酢を使用する回数を、自分の日頃の食事内容と、体質とを考えて決めてほしいのです。簡単な目安としては、健康体で週二回くらいがよいと思われます。頬(ほほ)や鼻などに毛細血管の浮き出ている人、目が充血しやすい人、貧血、冷え性、糖尿病などの人には、しばらく体質が改善されるまで、酢は用いない方がよいでしょう」(『東洋の知的健康法』)



kenko7007 at 11:50|PermalinkComments(0)食事法 各論