食事法 各論

2019年07月08日

3-6 牛乳は骨を弱くする

 食養法では牛乳はほぼ禁止食品である(2-1)。私はここ16年間、牛乳・牛乳飲料を買ったことはない。ただ、会合などで出されたら飲む。

 なぜ、牛乳はいけないのか。いくつも指摘されているが、ここでは4つ取りあげる。

・骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になる
 骨粗鬆症は、骨からカルシュウムが溶けだし、骨が折れやすくなる病気である。
 ここ数年、私は牛乳に関し「骨粗鬆症になりやすい」を前面に出して説明している。「カルシュウムをとるために牛乳を飲んでいる」という人が多いのに、なぜなのか。
 これについては、まず、実態を先に知ったほうがよい。各種報告によると、北欧など牛乳消費の多い国は骨粗鬆症患者が多いという。フィンランド、スウェーデン、デンマーク、そしてアメリカなどである。日本はこれらの国にくらべて少ないが、それでも、牛乳普及の前後でみると、普及後はふえているという。

 牛乳はなぜ骨を弱くするのか。「牛乳でカルシュウムをとると、それが体内に定着せず、体内のカルシュウムと共に体外に出てしまう」と私は学んできた。新谷(しんや)弘美(医師)は「牛乳を飲むことで血中のカルシュウム濃度は高くなる……ところが、血液中のカルシュウム濃度は一定で……余分なカルシュウムは、体から排泄されなければならず……排出するときに、マグネシュウムや亜鉛や鉄などの他のミネラルも出ていってしまう」(『健康の結論』)としている。
(参考)カルシュウムは小魚や海草、未精白穀物、野菜に豊富に含まれている。

・乳ガンなどの原因になる
 近年、乳製品を多くとる人に乳ガンが多いのではと聞くことがある。新谷は「乳ガン、前立腺ガンなどになった人たちの食歴を聞くと、全員が牛乳、チーズ、ヨーグルトなどを毎日食べ、また牛肉も頻回(週に3~4回以上)食べている人たちでした」と書いている(『前掲書』)。新谷はアメリカと日本でガン治療をしている。
 私は、これを書きながら二人の知人女性を思いだした。二人は乳ガンになったが、二人とも乳製品の愛好者だった。
 牛乳がガンの原因と推定されることに関し、ある医師は「牛乳は脂肪量が多いので、それがもととなったのではないか」としている。

・下痢をする
 牛乳を飲む習慣のなかった日本人は、あかちゃんを除き牛乳を消化する酵素をもっていない。そのため、牛乳を飲むと下痢をする人がいる。

・アレルギー体質になる
 牛乳はアトピーや喘息などを誘発すると指摘されている。

 以上、4つにしぼって牛乳の問題点を書いてみた。

 おわりに、新谷弘美のアドバイスを紹介しておく。「大人で牛乳が好きな人なら、週に1~2回くらいは飲んでもかまわないでしょうが、嫌いな人が飲めば必ず何らかの病気になるということを肝に銘じておきましょう」(『前掲書』)



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2019年07月07日

3-7 白砂糖は恐い

 恐いのは白砂糖であって黒砂糖ではない。白砂糖は虫歯を作るので、だれもが良くないと知っている。でも、白砂糖はガンをも起こすと聞くと、「本当か」と思う人が多いのではないか。

 白砂糖について大浦孝秋(食養家、1894~1979)の1972年の解説を紹介しておこう。
「黒砂糖のうちは、その中にビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、少量を用いれば栄養となるものを、精製して純度を高くしていくと、もはや食品といえない”薬品”となってくる。それが身体に毒となって数々の副作用をもたらす。そして、人間の生命は加速度的に蝕(むしば)まれていくのである。虫歯・近視・ノイローゼ・胃弱・アレルギー体質などは砂糖の過食で身体からカルシュウムが奪い去られた結果であり、動脈硬化・高血圧・癌・糖尿病などが白砂糖の多食でおこることは医者も認めている」(甲田光雄『白砂糖の害は恐ろしい』所収)

 くり返すがダメなのは白砂糖である。砂糖には黒砂糖、きび砂糖、てんさい糖、三温糖、白砂糖がある。このうち、前の3つは未精白でカルシュウムや鉄分などを含んでいる。いっぽう、三温糖、白砂糖は不純物(ミネラルなど)をほぼ完全にとりさってある。

 大浦は、いまから45年以上前に、白砂糖の多食とガンの関係を指摘していた。いまでは、ガンの原因の第一は肉ではなく白砂糖とする食養家や医者が何人もいる。

 白砂糖は知らずのうちに体に入ってくる。清涼飲料水、料理、お菓子などから。とりあえず、コーヒーなどはブラック(白砂糖ぬき)で飲むようにし、料理に砂糖を入れない工夫をすべきだ。

 でも、白砂糖をいっさい取らないというのは現実的でない。
 白砂糖入りのものを食べたときは、他のものを食べて白砂糖のマイナスを消せばよい。これについて二人のアドバイスを紹介しておこう。

 千坂諭紀夫(食養家)は、著書のなかで「甘いものを……食べるときは陽性・アルカリ性を摂って中和すると、体に悪影響が残らなくなります」と言い、玄米、ダイコン、ニンジン、梅干し、みそ・しょう油、黒ゴマ、番茶、ウーロン茶などを勧めている。

 五十嵐敏明(漢方薬局、食養家)は「砂糖は使わないこと、どうしてもやめられない人は、きんちと食事をした後なら少量は良い。コーヒーなど、大量の砂糖混入物は一切やめて無糖に変える」と書いている(『病気は基から断たなきゃ』)。



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2019年07月04日

3-8 葉緑素は良い血液をつくる

 葉緑素は植物の葉に含まれる緑の色素で、緑黄色野菜と海草に含まれている。
 葉緑素をとると貧血が治ると伝統的にいわれてきた。また、葉緑素と血液の赤い色素の成分はにており、葉緑素が腸から吸収され、よい血液をつくると考えられてきた。森下敬一(医師)は「臨床的にみても、貧血症患者に葉緑素を与えるとめざましい効果のあることが確認できる」と書いている(『自然医食療法』)。

 私は食養法の勉強をはじめたとき、多くの指導者の本を読んだ。そして、玄米、菜食、少食、葉緑素の4項目を頭にのこした。このうち、葉緑素は森下の影響が大きい。森下は葉緑素の効用を高く評価している。

 葉緑素を意識すると食事がどうかわるのか。それは、副食をとるとき海草と緑黄色野菜を多少意識的にとることになる。私はそのようにしてきた。もちろん淡色野菜 (緑黄色野菜以外の野菜)も食べるが。
 葉緑素が含まれるのは緑黄色野菜と全ての海草のみである。色のうすい野菜(淡色野菜)には含まれない。緑黄色野菜には、ニンジン、カボチャ、小松菜、ほうれん草、大根葉、春菊、ピーマン、パセリ、ブロッコリー、ニラ、アシタバ、などがある。

 いま、貧血気味の人が多い。貧血の症状は、けんたい感、頭痛、肩こり、イライラ、動悸、夏ばて、冷え症などである。このような症状のある人は、未精白穀物を取り入れるとともに、葉緑素を意識してとるとよい。

 葉緑素を高く評価する五十嵐敏明(漢方家、食養家)の一文を紹介しておこう。
「ご飯を主に味噌汁は必ず飲み、大豆やゴマ、そして緑黄色野菜、海草をたくさん食べる。日本茶、梅干しはもちろん常用する」「緑黄色野菜をとれない人や苦手な人は、クロレラやスピルリナを利用すると良い」(『病気は基から断たなきゃ』)
 クロレラとスピルリナは葉緑素の豊富な藻で、健康食品に使われている。

(参考)スピルリナによる放射線防御の有用性
 スピルリナは水前寺のりやふのりと同じ藻類である。熱帯の湖に自然に生え、古来から食用とされてきた。スピルリナには栄養素が豊富だが葉緑素もそのひとつである。
 スピルリナの放射線防御作用が報告されている。「ベラルーシの放射線医学研究所が、(1986年のチェルノブイリ原発事故での)被害の大きかった地区の子ども100 人にスピルリナを1日5g20日間飲ませたところ、尿中の放射能レベルが50%まで低下」した(『アエラ』2011.6.13)。福島原発事故後、ヨーロッパの人からスピルリナの摂取が日本に勧められた。



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2019年07月03日

3-9 酵素に注目を

 酵素は「生体の営む化学反応の触媒となるタンパク質」である。営む化学反応とは消化や吸収といったことである。これが体内で行われるとき酵素が必要となる。人体には3千種の酵素があり、一つの酵素は一つだけの反応で触媒の役割をはたす。

 食養法では「酵素」を解説している指導者はあまりいない。ただ、私は当初から酵素を少し意識していた。1976年に勉強をはじめたとき、鈴木弘一(医師)の『自然食と玄米酵素』という本に出会ったからだ。ここには玄米菜食と米ぬか発酵食品の解説がのっていた。
 つぎは2003年である。この年に私は集中的に勉強したが、鶴見隆史(医師)が酵素の大切さを強調していた。

 酵素がなければ消化も吸収もできない。体内で作られるものもあるが、体外から即ち食べ物から酵素をとることも大切だ。
 酵素は物質としてはタンパク質で、熱に弱く70度位でほとんど壊(こわ)れてしまう。そのため、生のもの(生の野菜や生の肉など)だけからしかとれない。ただ、いったん加熱したものでも発酵させれば酵素が生まれる。味噌、しょう油、漬け物、梅干し、納豆、かつお節など、日本には発酵食品がたくさんある。
 
 酵素は健康食品からもとれる。酵素の豊富な健康食品は、特定の1~2種類の穀物や果物を発酵させたもので、形は粉末や顆粒である。ここには、デンプンを分解するアミラーゼやタンパク質を分解するプロテアーゼも入っている(すべての製品にかどうかは不明)。
 
 私はこの種の酵素食品を40年ほど食べてきた。ただ、当初の25年間は、玄米食のできない旅行中や美食のときだけだった。そのため効果はあまり実感できなかった。ここ16年ほどは酵素食品の普及販売をしている。そのため、毎日食べ、私と客の状況を観察している。結論をいうと、玄米食をしている人でさえ、常時とると、一段、体調が向上する。なお、先の製品といま食べているものはほぼ同等のようだ。ただ、この種の製品すべてが同じレベルかどうかは私には分からない。

 私がみたところ、食生活改善で病気治しをしている有力な食養家や医者の多くは、酵素健康食品を取り入れている。

(参考)○○酵素といった名前の健康食品が数多く売られている。このうち液体のものは、発酵の過程でビタミン・ミネラルが豊富となっており体内の活性を高めるもののようだ。ただ、液体の酵素には酵素自体はあまり含まれておらず、デンプンを分解するアミラーゼもないという。酵素が豊富な粉末・顆粒のものとは別な目的の製品である。



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2019年07月02日

3-10 「タンパク質を取れ」に警戒を

 細野雅裕(食養家)の本に「『蛋白質を摂れ』は悪魔のささやき」とある(『血糖値がどんどん下がる』1996)。細野のオリジナルかと思ったら、その12年も前に牛尾盛保(医師)が「悪魔の声「たんぱく質が足りないよ」」と書き、「アメリカの栄養学者に呼応して、日本人で、専門家と称する学者達も「タンパク質の不足」を口にするようになりました」と付け加えていた(『食原病』1984)。

 テレビをみていると、高齢者にむけて「粗食ではいけない、肉(タンパク質)を しっかり食べて」といった声が聞こえてくる。10年ほど前には女優の森光子(1920~2012)が「毎日肉を食べていて元気」といったコメントとともに、森のでんぐり返しの映像がテレビに出ていた。
 外食が多い友人は、普通に外食していると動物性食品の取りすぎになるという。また、いまの日本では、気をゆるすとタンパク質の取りすぎになる、と指摘する人もいる。それなのに肉を取れ取れという。

 人間は肉をたくさん食べる必要があるのか。動物性食品は食事全体の1割前後ではダメなのか(2-5)。肉からしか筋肉や骨ができないのか。
 これに関し、よく牛や馬が例にあげられる。彼らの食事は草が中心なのに、あれほど大きな体になっている。タンパク質が少ない食事でも筋肉も骨もできるのだ。人間も穀物や野菜中心の食事で筋肉も骨もつけてきた。

 肉を取りすぎるとどうなるのか。腸内で腐敗し血液をよごす(2-5)。そして、心臓病、肝臓病、腎臓病、糖尿病、アレルギー、さらにガンまで引き起こす。
 最近、肉の取りすぎは骨を弱くするとの指摘がある。
 山田豊文(スポーツ栄養学)は次のように書いている。
「多量のタンパク質を摂取すると、その代謝産物として尿酸、また硫酸などの酸性物質が作り出され、血液が酸性に傾きます。体はそれを中和するために、骨や歯からカルシュウムを溶かして血液中に送り込み、酸/アルカリのバランスの調整をします。いわゆる「脱灰」という現象です」(『細胞から元気になる食事』)。

 ネットをみたら何人かが同様の指摘をしていた。

(参考)
 森下敬一(医師)は「『消化』についてのひとつの試案」で次のように書いている。
「まだ医学生であったわたしは「草食動物は、その消化管で、草の炭水化物を固有の蛋白質につくり変えている。草に含まれる植物性の粗蛋白から、ウシの体蛋白ができるにしては、その量が少なすぎるし、おかしい」と考えた。……草食動物の消化器においては、草に含まれる炭水化物が、消化液(酵素)やバクテリアなどの作用を受け、「前蛋白質」となって、腸粘膜の組織に吸収される」(『肉食亡国論』)



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