2019年07月02日
3-10 「タンパク質を取れ」に警戒を
細野雅裕(食養家)の本に「『蛋白質を摂れ』は悪魔のささやき」とある(『血糖値がどんどん下がる』1996)。細野のオリジナルかと思ったら、その12年も前に牛尾盛保(医師)が「悪魔の声「たんぱく質が足りないよ」」と書き、「アメリカの栄養学者に呼応して、日本人で、専門家と称する学者達も「タンパク質の不足」を口にするようになりました」と付け加えていた(『食原病』1984)。
テレビをみていると、高齢者にむけて「粗食ではいけない、肉(タンパク質)を しっかり食べて」といった声が聞こえてくる。10年ほど前には女優の森光子(1920~2012)が「毎日肉を食べていて元気」といったコメントとともに、森のでんぐり返しの映像がテレビに出ていた。
外食が多い友人は、普通に外食していると動物性食品の取りすぎになるという。また、いまの日本では、気をゆるすとタンパク質の取りすぎになる、と指摘する人もいる。それなのに肉を取れ取れという。
人間は肉をたくさん食べる必要があるのか。動物性食品は食事全体の1割前後ではダメなのか(2-5)。肉からしか筋肉や骨ができないのか。
これに関し、よく牛や馬が例にあげられる。彼らの食事は草が中心なのに、あれほど大きな体になっている。タンパク質が少ない食事でも筋肉も骨もできるのだ。人間も穀物や野菜中心の食事で筋肉も骨もつけてきた。
肉を取りすぎるとどうなるのか。腸内で腐敗し血液をよごす(2-5)。そして、心臓病、肝臓病、腎臓病、糖尿病、アレルギー、さらにガンまで引き起こす。
最近、肉の取りすぎは骨を弱くするとの指摘がある。
山田豊文(スポーツ栄養学)は次のように書いている。
「多量のタンパク質を摂取すると、その代謝産物として尿酸、また硫酸などの酸性物質が作り出され、血液が酸性に傾きます。体はそれを中和するために、骨や歯からカルシュウムを溶かして血液中に送り込み、酸/アルカリのバランスの調整をします。いわゆる「脱灰」という現象です」(『細胞から元気になる食事』)。
ネットをみたら何人かが同様の指摘をしていた。
(参考)
森下敬一(医師)は「『消化』についてのひとつの試案」で次のように書いている。
「まだ医学生であったわたしは「草食動物は、その消化管で、草の炭水化物を固有の蛋白質につくり変えている。草に含まれる植物性の粗蛋白から、ウシの体蛋白ができるにしては、その量が少なすぎるし、おかしい」と考えた。……草食動物の消化器においては、草に含まれる炭水化物が、消化液(酵素)やバクテリアなどの作用を受け、「前蛋白質」となって、腸粘膜の組織に吸収される」(『肉食亡国論』)
kenko7007 at 00:09│Comments(0)│食事法 各論